住宅相談はなぜ無料でできるのか?

「家づくりのことを専門家に相談したい」

そう思ってインターネットで検索すると、「無料住宅相談」「無料で住宅会社をご紹介」「家づくりの相談は何度でも無料」といったサービスが数多く出てきます。

無料で専門家に相談できて、自分に合ったハウスメーカーや工務店まで紹介してもらえる。

これから家を建てる方にとって、とてもありがたいサービスに見えると思います。

実際、無料住宅相談そのものが悪いと私は考えているわけではありません。

大切なのは「無料だから安心」ではなく、「なぜ無料で成り立っているのか」を知ったうえで利用することです。

世の中には、無料で提供されている便利なサービスがたくさんあります。

しかし当然ながら、企業が運営している以上、どこかに収益がなければ事業は継続できません。

住宅相談サービスも同じです。

私は30年以上、住宅・建築・不動産業界のあらゆる実務に携わってきました。

設計、施工管理、住宅営業、リフォーム、不動産・建物調査、ホームインスペクションなど、住宅に関するさまざまな立場を経験してきました。

その経験から、これから住宅を購入する方にぜひ知っていただきたいことがあります。

それは、

「その住宅相談の費用を、本当は誰が負担しているのか?」

という視点です。

今回は、無料住宅相談の仕組みと、私があえて「有料住宅相談」という方法を選んでいる理由についてお話しします。

無料住宅相談が悪いのではない。「なぜ無料?」を知ることが大切

無料住宅相談には、さまざまなビジネスモデルがあります。

ここで一つ、住宅購入を検討している方にぜひ考えていただきたいことがあります。

「なぜ、これだけの住宅相談を無料で受けられるのでしょうか?」

相談スペースを用意するにも、広告を出すにも、相談スタッフを雇用するにも当然ながら莫大なコストがかかります。

企業が事業として運営している以上、相談者から料金を受け取らないのであれば、事業を支える収益は別のところから生まれなければなりません。

そして、住宅業界には以前から、住宅会社と住宅紹介サービスなどが提携し、顧客の紹介や成約などに応じて住宅会社側が費用を負担するビジネスモデルがあります。

ここでは、大手の無料住宅相談サービスである「SUUMOカウンター」を例に見てみましょう。

現在、SUUMOカウンターの消費者向け公式サイトには、

「建築会社からの広告料で運営しているため、お客さまの利用はすべて無料」

と説明されています。

別の公式ページでも、

「企業からの広告費・販売促進費で運営」

と明記されています。

では、その「広告料」「販売促進費」とは、住宅会社側からどのように支払われるのでしょうか。

ここで重要なのが、リクルートが公開している事業者向けの「スーモカウンター注文住宅サービス約款」です。

その約款には、紹介客が建築会社と注文住宅の請負契約を結んだ場合、

建築工事等の請負契約に記載された最終契約金額(消費税を除く)の5%に、消費税を加えた金額を「本サービスの対価」とする

と明記されています。

さらに、その対価については、

建築工事の着工月の翌月に、リクルートが建築会社へ請求する

という規定もあります。

たとえば、税抜4,000万円の注文住宅であれば、5%は200万円です。

税抜5,000万円なら250万円。

これは数万円の商品券などとは、まったく桁が違います。

ここで誤解していただきたくないのは、

「だからSUUMOカウンターはダメだ」と言いたいわけではない

ということです。

SUUMOカウンター自身も、消費者にはすべてのサービスを無料で提供し、特定の建築会社を無理にすすめないこと、中立的な立場で建築会社を紹介することを掲げています。

ここで、今一度、この業界構造を整理します。

「相談が無料」ということは、「誰からもお金を受け取っていない」という意味ではありません。
利用者が相談料を払わなくても、紹介された住宅会社側からサービス運営者側にお金が支払われる仕組みです。

ここは、はっきり分けて考える必要があります。

本質的には「紹介料」ということなのですが、その表現を

「広告料」、「販売促進費」、「本サービスの対価」など、

さまざまな表現で記載されています。

ただし、大切なのは、

「誰が、誰に、いくら支払う仕組みなのか」

です。

私は大手ハウスメーカー在籍時、実際にSUUMOカウンター経由のお客様を担当した経験があります。

そのため、住宅会社側から見た住宅紹介サービスの仕組みも経験してきました。

だからこそ、これから住宅を購入する方には、

「無料でも中立」「無料でも自分のためだけに住宅会社を選んでくれている」と思い込まないでください。

とお伝えしたいのです。

無料住宅相談を利用すること自体に問題があるわけではありません。

仕組みを理解したうえで利用するのであれば、それも一つの有効な選択肢です。

しかし、その際にはぜひ確認してみてください。

「なぜ無料なのか?」

「紹介される住宅会社はどのように選ばれているのか?」

「住宅会社が成約した場合、相談サービス側にどのような対価が発生するのか?」

「その対価は、契約金額に連動するものなのか?」

こうしたことを知ったうえで相談するのと、何も知らずに「無料の第三者相談」だと思って利用するのとでは、意味が大きく違います。

無料住宅相談が悪いのではありません。
「なぜ無料なのかを知らないまま、大きな契約の判断を任せてしまうこと」が問題なのです。

「知人の紹介」と「事業としての住宅会社紹介」はまったく違う

ここも混同されやすいところです。

家を建てた人が、

「このハウスメーカーで建てて良かったから、友人にも紹介したい」

と思うことがあります。

住宅会社によっては、紹介した人に商品券や謝礼などを渡す制度もあります。

私は、このような紹介に関しては、まったく否定するつもりはありません。

実際に自分で家を建て、その会社の良いところも悪いところも経験した人が、自分の責任で友人や親戚に勧める。

これは一つの有益な口コミだと思います。

しかし、

「住宅会社の紹介そのものを事業として行う」

となれば話は別です。

住宅会社との提携を前提に顧客を紹介し、その後の契約や売上などに応じて事業が成立する仕組みであれば、紹介する側にも当然、事業としての目的があります。

ここで考えていただきたいのです。

「相談者にとって最良の住宅会社」と「紹介する側にとって契約してほしい住宅会社」は、本当に同じなのでしょうか?

もちろん、多くの担当者は真面目に相談者のことを考えて仕事をしているでしょう。

問題は「人柄」ではありません。

ビジネスモデルによっては、相談者の利益と、サービス提供者の利益との間にズレが生じる可能性がある。

私はそこを理解しておくことが重要だと考えています。

「中立です」という言葉より、利益相反が起きにくい仕組みかが重要

住宅業界では「中立」「第三者」「お客様目線」という言葉がよく使われます。

もちろん、どれも大切な考え方です。

しかし私は30年以上この業界を見てきた中で、もっと大切なのは、

「その人が中立だと言っているか」ではなく、「中立でいられる仕組みになっているか」

だと考えるようになりました。

住宅会社の商品を販売する人が、その住宅会社の良いところを説明する。

これは当然のことです。

優秀な住宅営業担当者や工務店経営者であっても、自社の商品を販売している以上、自社の強みを中心に説明することになります。

それ自体は悪いことではありません。

住宅会社の営業担当者は「販売するプロ」です。

一方で、相談者が必要としているのは、ときとして、

「この会社で本当に契約していいのか?」

「この見積金額は妥当なのか?」

「営業担当者は大丈夫と言っているけれど、本当に問題ないのか?」

「そもそも今、家を建てるべきなのか?」

といった、契約そのものを立ち止まって考えるための意見です。

商品を売る人と、その商品を買うべきか相談する人が同じでも良いのでしょうか

これは住宅に限らない話だと思います。

SUUMOカウンターの住宅アドバイザーはどんな人?

大手の無料住宅相談サービスについて調べている方の中には、

「相談担当者は建築士なのだろうか?」

「住宅業界で何年くらい設計や現場管理など、実務経験をした人なのだろう?」

と疑問を持つ方もいるでしょう。

ここについても、誤解のないよう事実を見てみましょう。

株式会社リクルートのSUUMOカウンター住宅アドバイザーの求人情報では、住宅業界に関する知識がなくても応募可能で、就業後に研修や業務を通じて学ぶ仕組みが説明されています。

また、掲載されている求人情報では、

「メンバーの8割が就業時住宅業界未経験」

とされています。

これは「住宅業界未経験だからダメ」という話ではありません。

研修を受け、相談経験を積み、非常に優秀なアドバイザーになっている方も、中にはいらっしゃるでしょう。

聞く力、相談者の希望を整理する力、コミュニケーション能力も住宅相談では非常に重要です。

ただし、数千万円という人生最大級の買い物について相談するのであれば、

「自分が今相談している相手は、どのような住宅実務を経験してきた人なのか?」

を確認することも、一つの判断材料になるのではないでしょうか。

設計を経験した人。

現場を知っている人。

住宅営業を経験した人。

不動産取引を知っている人。

それぞれ見える景色が違います。

住宅相談という言葉は同じでも、「誰に相談するのか」によって得られるアドバイスは大きく変わります。

住宅会社の倒産。「着工前に8割払ってください」と言われたら?

近年、住宅会社や工務店の経営破綻により、施主が大きな損害を受ける事例が報道されています。

その中でも私が特に危険だと感じるのが、工事の進捗に対して明らかに先行した多額の支払いを求められるケースです。

注文住宅の工事代金は、契約時、着工時、中間時、完成時など、工事の進捗に合わせて分割して支払う方法が一般的です。

私が長年見てきた住宅実務でも、

「契約時1割、着工時3割、中間時3割、完成時3割」

といった支払い設定がおおよそ一般的です。

もちろん「この割合でなければ違法」というつもりはありません。しかし、

まだほとんど工事が進んでいない段階で、

「工事代金の8割を先に払ってください」

と言われたらどうでしょうか。

私は、いったん立ち止まって理由を確認することを強く勧めます。

なぜ今、その金額が必要なのか。

工事の出来高と支払額は釣り合っているのか。

万が一その会社が倒産した場合、支払ったお金はどうなるのか。

そして、ここでもう一つ考えてほしい重要なことがあります。

そのとき、あなたは「誰」に相談しますか?

住宅会社から多額の前払いを求められ、不安になったとします。

誰かに相談したい。

では、その住宅会社を紹介してくれた人に相談するでしょうか。

それとも、

その住宅会社との間に金銭的な利害関係を持たない第三者に相談するでしょうか。

ここが、私が住宅相談の「仕組み」にこだわる大きな理由です。

ここでもう一度、先ほどご紹介したSUUMOカウンターの事業者向け約款を思い出してください。

SUUMOカウンターの場合、紹介したお客様が住宅会社と請負契約を結んだだけで、すぐに住宅会社へ対価が請求されるわけではありません。

約款では、最終契約金額(税抜)の5%に消費税を加えた対価について、「建築工事着工月の翌月」にリクルートが住宅会社へ請求すると定められています。

すなわち、支払われる莫大の『対価』は、工事着工の翌月以降でないと支払われないのです。

税抜4,000万円の住宅なら200万円、5,000万円なら250万円という莫大な金額です。

住宅建築は契約しても、着工までに様々な理由で解約(白紙)になるケースもあります。

そのため、契約しただけで、その莫大な金額は支払われないのです。

では、ここで一つ考えてみてください。

住宅会社から、

「着工前に工事代金の8割を支払ってください」

と言われた相談者が、

「こんなに先に払って、本当に大丈夫なのでしょうか?」

と不安になったとします。

そのとき、その人は最初に誰へ相談するでしょうか。

おそらく選択肢の一つになるのは、自分にその住宅会社を紹介し、それまで家づくりについて相談に乗ってくれていた住宅相談サービスの担当者の可能性が高いでしょう。

仮に、着工前に80%の入金を求められた相談者が

「いったん着工を止めた方がいい」

「この支払いには応じない方がいい」

「場合によっては、この住宅会社との契約そのものを見直した方がいい」

という場面が訪れたとき、

相談者の利益と、住宅会社の紹介によって成り立つ事業上の利益が、同じ方向を向くとは限りません。

だからこそ相談者には、

「この人は信用できそうか」だけではなく、「この相談サービスは、誰から、どのタイミングで、どのような対価を得る仕組みなのか」

という根本的な原理原則を知ってほしいのです。

紹介型の住宅相談サービスすべてについて、「担当者が契約や着工を無理に進める」と言っているわけではありません。

しかし、

住宅会社から着工前に多額の入金を求められた場合の相談者と、着工しないと『サービス対価』が入金されないサービス会社の間に経済的利益が衝突する可能性はないのか。

相談者は、常にその視点を持って適切な判断をしていく必要があります。

担当者が良い人か悪い人か、という問題ではありません。

利益相反が起こり得る構造なのかどうか。

私は、そこを見るべきだと思っています。

私が住宅会社を紹介しない理由

ここまで読んで頂くと、当住宅相談所がなぜ

● 相談者様を住宅会社へ紹介しない

● 相談者様の工事を請け負わない

という二つを明確に宣言しているのか、お分かりいただけると思います。

住宅会社を紹介して莫大な報酬をいただけるのであれば、相談料を無料にできるでしょう。

工事を請け負えば、相談を入口として建築工事から利益を得ることもできます。

しかし、それをしてしまえば私自身にも、

「この会社で契約してほしい」

「この工事を発注してほしい」

という別の利害が生まれます。

だから私は、その二つを絶対にしないのです。

私の仕事は住宅会社を売ることではなく、相談者が正しい判断をするための材料を提供することだからです。

場合によっては、

「私はこの会社との契約を急がない方がいいと思います」

とお伝えすることもあります。

「今は家を買わない」という結論になることだってあります。

それでも構いません。

なぜなら、どの住宅会社と契約するかによって私の報酬が変わる仕組みではないからです。

だから、私の住宅相談は「有料」で行っています。

当住宅相談所の相談は有料です。

現在、電話・オンライン相談から、120分を基本とした対面式の「住まいの総合コンサルティング」まで、ご相談内容に応じたサービスをご用意しています。

対面式の住まいの総合コンサルティングは、120分49,500円(税込)。

必要に応じ、進行状況によって最大30分程度まで追加料金なしで対応しています。

無料住宅相談が数多くある中で、

「相談するだけで49,500円?」

と思う方もいるでしょう。

私は、それでいいと思っています。

なぜなら、私の住宅相談でお金を払ってくださるのは、

住宅会社ではなく、相談者であるあなた自身だからです。

私は住宅会社の顔色を見る必要がありません。

紹介先に契約してもらう必要もありません。

工事を受注する必要もありません。

相談料をいただく代わりに、相談者以外の利益を考えなくていい。

これが、私が有料住宅相談という形を続けている最大の理由です。

無料か有料かより、「誰の側に立つ仕組みなのか」

最後に、もう一度申し上げます。

無料住宅相談だから悪い。

有料住宅相談だから正しい。

そんな単純な話ではありません。

大切なのは、

そのサービスがどのような仕組みで成り立っているのか。

そして、

相談する人と住宅会社との間に、どのような利害関係があるのか。

を知ることです。

住宅相談を利用するときには、ぜひ聞いてみてください。

「この相談は、なぜ無料なのですか?」

「紹介される住宅会社は、どのように選ばれているのですか?」

「紹介した会社と契約した場合、相談サービス側にはどのような利益があるのですか?」

「相談担当者は、住宅業界でどのような実務を経験してきた方ですか?」

これらは失礼な質問ではありません。

数千万円という大きな買い物をするのですから、確認して当然のことです。

そしてもう一つ。

「中立です」という言葉だけではなく、「中立でいられる仕組みなのか」を見てください。

私は住宅会社を紹介しません。

工事も請け負いません。

相談者から適切な相談料をいただき、その相談者のためだけに、30年以上の住宅・建築・不動産業界で培ってきた豊富な実務経験を使う。

それが「中立公正な住宅総合相談所」として、私が選んだ住宅相談の形です。

住宅会社と契約する前に、一度「第三者」に話してみませんか?

住宅購入では、契約してからでは、取り返しのつかないことも起こりえます。

「この住宅会社で本当に大丈夫だろうか」

「見積金額が妥当なのか分からない」

「営業担当者の説明に少し違和感がある」

「契約を急かされている」

「理不尽な支払い条件を提示された」

「家族だけで考えていても答えが出ない」

その時は、契約する前に一度ご相談ください。

当相談所では、住宅会社を紹介することも、工事を請け負うこともありません。

必要であれば、

「その会社とは契約しない方がいい」

という結論も含めてお話しします。

住宅・建築・不動産業界で30年以上。

さまざまな立場から住宅を見てきた実務経験をもとに、現在の状況を一緒に整理します。

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中立公正な住宅相談
電話・オンライン相談/対面式「住まいの総合コンサルティング」に対応しています。

真山虎次郎
住まいの総合コンサルタント/既存住宅状況調査技術者(建築士)

※本記事は、特定の無料住宅相談サービスや住宅会社について、不正・違法行為があると主張するものではありません。住宅相談・紹介サービスにはさまざまな事業形態があり、契約条件や収益構造もそれぞれ異なります。本記事では、住宅購入者が相談先を選ぶ際に「相談者・相談サービス・住宅会社の利害関係を確認する」という視点を持つことの重要性を、住宅実務に携わってきた筆者の立場から解説しています。